押し紙

「押し紙」とは、日本の新聞業界で使われる用語で、実際には配達されない余剰な新聞のことを指します。これは、新聞販売店が新聞社から実際の需要以上の部数を購入させられる慣行を意味します。販売店は、販売目標や契約によって、販売部数を増やすために必要以上の新聞を購入し、その余剰分を実際の購読者に配達せずに廃棄するか、在庫として抱えることになります。

押し紙の問題は、いくつかの理由で発生します。まず、新聞社は発行部数を増やすことで広告収入を増やそうとします。発行部数が多ければ多いほど、広告料金を高く設定できるからです。次に、販売店は新聞社からのプレッシャーや販売目標の達成のために、余分な新聞を購入せざるを得ない状況に置かれます。これにより、販売店は経済的な負担を強いられ、無駄な在庫や廃棄物が生じることになります。

押し紙の存在は、消費者や広告主にとっても問題です。実際の購読者数よりも多くの部数が発行されていると見せかけることで、広告主は実際の効果よりも高い料金を支払わされる可能性があります。また、環境にも悪影響を及ぼす可能性があり、資源の無駄遣いとなります。

このような背景から、押し紙の慣行は公正取引の観点から問題視されており、近年ではその是正に向けた動きも見られます。しかし、業界全体の慣行や経済構造が深く関わっているため、完全な解決には時間がかかるとされています。